Versions Compared

Key

  • This line was added.
  • This line was removed.
  • Formatting was changed.

...

生薬の知識は、薬剤の薬効を知る上に大切である。
麻黄、地黄、大黄、附子、甘草を含む処方は、副作用に注意する必要がある。


生薬

薬効

備考

麻黄(まおう)

麻黄(まおう)

発汗、気管支拡張作用、去痰

エフェドラの地上茎
主成分はephedrineであり、交感神経刺激と中枢興奮作用がある。
葛根湯の成分である。

地黄(じおう)


地黄(じおう)

滋養強壮、血液凝固抑制、
利尿作用

カイケイジオウの根
八味地黄丸の成分である。
消化器障害の副作用がある。

大黄(だいおう)


大黄(だいおう)

緩下作用、代謝改善作用

タデ科レウムの根
主成分はアントラキノン類で、寫下作用がある。
プロドラッグである。
妊婦への投与は注意が必要。

附子(ぶし)

新陳代謝賦活作用、
鎮痛、利尿作用


附子(ぶし)

新陳代謝賦活作用、鎮痛、利尿作用

トリカブトの塊根。神経毒、β刺激、強心作用がある。

葛根(かっこん)

解熱作用、
首背中のこわばりを治す。


葛根(かっこん)

解熱作用、首背中のこわばりを治す。

クズの根 

甘草(かんぞう)


甘草(かんぞう)

健胃解毒作用、

精神不穏などの急迫

精神不穏などの急迫症状を和らげる。

症状を和らげる。

カンゾウの根
副作用として偽アルドステロン症

桂皮(けいひ)


桂皮(けいひ)

桂枝(けいし)

桂枝(けいし)

健胃、血行促進、
免疫賦活作用

クスノキの樹皮
副作用としてアレルギー性皮膚炎

石膏(せっこう)

石膏(せっこう)

熱をとり潤す作用

含水硫酸カルシウム

含水硫酸カルシウム。慢性皮膚疾患に頻用される。

慢性皮膚疾患に頻用される。


当帰(とうき)

当帰(とうき)

川芎(せんきゅう)

川芎(せんきゅう)


血行促進、月経を整える作用、免疫調節作用

血行促進、

トウキの根、副作用はアレルギー反応、胃腸障害

月経を整える作用、

人参(にんじん)

免疫調節作用

滋養強壮作用、抗ストレス作用

トウキの根

オタネニンジンの根。主成分はサポニン(ginsenosides)

副作用はアレルギー反応、胃腸障害


柴胡(さいこ)

人参(にんじん)

リンパ球の機能調節、代謝調節作用

滋養強壮作用

ミシマサイコの根。主成分はサポニン(saikosaponins)、副作用はアレルギー反応

抗ストレス作用


黄芩(おうごん)

オタネニンジンの根

柴胡(さいこ)

リンパ球の機能調節、
代謝調節作用、

ミシマサイコの根
主成分はサポニン(saikosaponins)
副作用はアレルギー反応

黄芩(おうごん)

免疫調節作用、
健胃、解熱作用

コガネバナの根
副作用はアレルギー反応

芍薬(しゃくやく)

免疫調節作用、健胃、解熱作用

主成分はサポニン(ginsenosides)

コガネバナの根。副作用はアレルギー反応

芍薬(しゃくやく)

鎮痙、鎮痛作用

シャクヤクの根

茯苓(ぶくりょう)

利尿、強心作用
消化機能を高める。

茯苓(ぶくりょう)

利尿、強心作用、消化機能を高める。

マツホドの菌核


6.漢方製剤の副作用

慢性肝炎治療において、小柴胡湯は薬剤性間質性肺炎を引き起こすことがある。特にインターフェロンと併用すると発生頻度が高くなる(禁忌)。発熱、乾燥性咳嗽、呼吸困難などが現れたら間質性肺炎を疑う。
麻黄は、ephedrineを主成分にしており、中枢および交感神経を刺激し、副作用を起こしやすい。

甘草は、グリチルリチン酸を含み、腎尿細管でのK排泄を促進し、低K血症や偽アルドステロン症を引き起こす。

山梔子(さんしし)は、主成分のゲニポシドが腸内細菌により分解されゲニピンとなり、腸間膜静脈硬化症を引き起こす。

それぞれの薬物が、アレルギー皮膚炎や薬剤性肝炎を引き起こすこともある。他剤との併用による副作用の増強がある(例えば麻黄と交感神経刺激薬、大黄と下剤など)。


7.用語解説

気は生命のエネルギー。気虚、気鬱、気逆がある。

血は体内の血液。血虚(栄養不足)と瘀血(おけつ、血の巡りが悪い)がある。

水は体液。水毒(水の分布が悪い)

充実した余った状態で、患部に気血が動員されている状態。

空虚で、患部に気血が乏しい状態。足らない状態

空虚で、患部に気血が乏しい状態。足らない状態。

活動性で熱性の反応を示す状態。


非活動性、寒性の反応を示す状態。


表・裏

表は皮膚や筋肉を、裏は消化器周辺を示す。
半表半裏は中間(口から横隔膜まで)を表す。

表は皮膚や筋肉を、裏は消化器周辺を示す。半表半裏は中間(口から横隔膜まで)を表す。

六病位

病気の経過を6段階で表す:太陽病、陽明病、少陽病、太陰病、少陰病、厥陰病

病気の経過を6段階で表す:太陽病、陽明病、少陽病、太陰病、少陰病、厥陰病。

五臓論

古代中国の五行論(自然界は五つの要素、木・火・土・金・水からできており、

古代中国の五行論(自然界は五つの要素、木・火・土・金・水からできており、互いに制御を受けている)を人体に当てはめ、肝・胆=木、心・小腸=火、脾(膵)・胃=土、肺・大腸=金、腎・膀胱=水、が相生および相剋関係にある。

互いに制御を受けている)を人体に当てはめ、肝・胆=木、心・小腸=火、
脾(膵)・胃=土、肺・大腸=金、腎・膀胱=水、が相生および相剋関係にある。


三大古典

紀元前から3世紀に編纂された「傷寒論」、「黄帝内経」、「神農本草経」が
漢方医学のバイブル

紀元前から3世紀に編纂された「傷寒論」、「黄帝内経」、「神農本草経」が漢方医学のバイブル。


参考図書:「入門漢方医学」(日本東洋医学学術教育委員会編、南江堂)、「漢方診療のレッスン」(花輪壽彦著、金原出版)

...