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平滑筋 | 骨格筋 | |
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形態 | 紡錘形で束をなす。 | 円筒形 |
可能な収縮(元の長さの) | 1/4 | 1/2 |
アクチンとミシンの比 | 10-20:1 | 2:1 |
筋小胞体の発達 | 少ない。 | 多くの小胞体が整然と筋原繊維に沿って並ぶ。 |
平滑筋の特徴を表す概略図 |
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消化管平滑筋では、受容体作動性 Ca2+ channel および電位依存性 Ca2+ channel の両方が働いている。また、IP3 受容体およびryanodine 受容体を介して Ca2+ を SR から放出する両方の機序が働いている。それらの働きの重要性は組織とアゴニストの種類により異なる。一般的には、平滑筋収縮の早い第一相にはストアーからの Ca2+ が 利用され、遅い第二相には細胞外からのCa2+ 流入が貢献している。
平滑筋細胞でのCa2+動員機構 |
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i) Ca2+ イオンによるミオシン軽鎖キナーゼの活性化
増加した Ca2+ イオンは細胞内カルモジュリンと結合し、ミオシン軽鎖キナーゼを活性化する。その結果、ミオシン軽鎖のリン酸化が起こり、アクチンとミオシン頭部で形成される cross bridge が回転して収縮が生じる。従って、収縮の強さを決めるのは一義的には、ミオシン軽鎖をリン酸化する細胞内 Ca2+ イオン濃度と言える。
ミシン軽鎖のリン酸化によるcross bridgeの回転 |
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平滑筋は体の主な中空臓器に存在しており、消化器、血管、膀胱、子宮などに分布している。その性質は器官ごとに異なっており、収縮と弛緩を引き起こすアゴニストも異なっている。大動脈や気管支の平滑筋は活動電位を発生しない。
収縮系
活動電位は、主として直接の機械(伸展)刺激とL型電位依存性Caチャネルにより生じる。これがCaイオンの流入の主な経路である。また、多くの平滑筋には、リガンド依存性イオンチャンネル(P2Xなど)があり、自律神経から遊離されたATPなどに反応し、Caイオンの流入を引き起こす。さらに、さまざまなアゴニストに反応するGPCRが存在し、IP3産生とIP3受容体刺激を介して、SRからCaイオンを遊離する。
平滑筋の収縮系 GPCR:G蛋白共役型受容体、MLCK:myosin light-chain kinase、CaM:calmodulin、SR:筋小胞体 |
弛緩系
カリウムチャネルと抑制性アゴニストに対するGPCRは、Kイオン流入、cAMP産生、Caチャンネルの調節をしている。ANP受容体は膜結合型GCを、気体のNOは可溶性GCを刺激し、cGMPの産生を引き起こす。PDE阻害薬はcAMPとcGMPの分解を抑制する。cAMPやcGMPは、各protein kinaseを介し、MLCKのリン酸化を引き起こす。リン酸化されたMLCKはCa2+-CaMとの親和性が低下し弛緩を引き起こす。
平滑筋の弛緩系 NO:nitric oxide、PKA:protein kinase A、PKG:protein kinase G、PDE:phosphodiesterase、ANP:atrial natriuretic peptide、AC:adenylate cyclase、GC:guanylate cyclase 参照:ラング・デール「薬理学」(2012) |
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