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平滑筋

骨格筋

形態

紡錘形で束をなす。

円筒形

可能な収縮(元の長さの)

1/4

1/2

アクチンとミシンの比

10-20:1

2:1

筋小胞体の発達

少ない。

多くの小胞体が整然と筋原繊維に沿って並ぶ。

 


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平滑筋の特徴を表す概略図
骨格筋のように筋原線維が整然と多数並んでいることない。平滑筋細胞は自律神経あるいは末梢神経の支配を、必ずしも直接受けていない。束になった平滑筋細胞の間を走行する神経は、多くのvaricosity(神経膨隆部)と終末により、平滑筋細胞に化学伝達を行うが、必ずしも明瞭な神経筋接合部を形成しない。直接、神経と接合部を形成しない平滑筋細胞は、細胞どうしがgap junction(nexus)により電気的に繋がり、脱分極が次の細胞へ伝わる。nexusは殆どの平滑筋で見られる。

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消化管平滑筋では、受容体作動性 Ca2+ channel および電位依存性 Ca2+ channel の両方が働いている。また、IP3 受容体およびryanodine 受容体を介して Ca2+ を SR から放出する両方の機序が働いている。それらの働きの重要性は組織とアゴニストの種類により異なる。一般的には、平滑筋収縮の早い第一相にはストアーからの Ca2+ が 利用され、遅い第二相には細胞外からのCa2+ 流入が貢献している。

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平滑筋細胞でのCa2+動員機構
受容体作動性(ROCC)と電位依存性Ca2+ channelを通って外からの流入とIP3受容体とryanodine受容体活性化によるSRからの放出がある。

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i) Ca2+ イオンによるミオシン軽鎖キナーゼの活性化
増加した Ca2+ イオンは細胞内カルモジュリンと結合し、ミオシン軽鎖キナーゼを活性化する。その結果、ミオシン軽鎖のリン酸化が起こり、アクチンとミオシン頭部で形成される cross bridge が回転して収縮が生じる。従って、収縮の強さを決めるのは一義的には、ミオシン軽鎖をリン酸化する細胞内 Ca2+ イオン濃度と言える。

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ミシン軽鎖のリン酸化によるcross bridgeの回転
細胞内で高まったCa2+は、カルモジュリン(CaM)と結合し、MLCKを活性化し、ミオシン軽鎖(MLC)の頭部をリン酸化する。また、頭部にあるMLC-ATPaseがATPを分解し、cross bridgeの回転が生じる。一方、MLC phosphataseは、脱リン酸化反応を担っており、kinaseとphosphataseのバランスにより、MLCのリン酸化量が保たれている。

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平滑筋は体の主な中空臓器に存在しており、消化器、血管、膀胱、子宮などに分布している。その性質は器官ごとに異なっており、収縮と弛緩を引き起こすアゴニストも異なっている。大動脈や気管支の平滑筋は活動電位を発生しない。

収縮系
活動電位は、主として直接の機械(伸展)刺激とL型電位依存性Caチャネルにより生じる。これがCaイオンの流入の主な経路である。また、多くの平滑筋には、リガンド依存性イオンチャンネル(P2Xなど)があり、自律神経から遊離されたATPなどに反応し、Caイオンの流入を引き起こす。さらに、さまざまなアゴニストに反応するGPCRが存在し、IP3産生とIP3受容体刺激を介して、SRからCaイオンを遊離する。 
   


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平滑筋の収縮系
GPCR:G蛋白共役型受容体、MLCK:myosin light-chain kinase、CaM:calmodulin、SR:筋小胞体


弛緩系

カリウムチャネルと抑制性アゴニストに対するGPCRは、Kイオン流入、cAMP産生、Caチャンネルの調節をしている。ANP受容体は膜結合型GCを、気体のNOは可溶性GCを刺激し、cGMPの産生を引き起こす。PDE阻害薬はcAMPとcGMPの分解を抑制する。cAMPやcGMPは、各protein kinaseを介し、MLCKのリン酸化を引き起こす。リン酸化されたMLCKはCa2+-CaMとの親和性が低下し弛緩を引き起こす。

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平滑筋の弛緩系
NO:nitric oxide、PKA:protein kinase A、PKG:protein kinase G、PDE:phosphodiesterase、ANP:atrial natriuretic peptide、AC:adenylate cyclase、GC:guanylate cyclase
参照:ラング・デール「薬理学」(2012)

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