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消化管平滑筋では、受容体作動性 Ca2+ channel および電位依存性 Ca2+ channel の両方が働いている。また、IP3 受容体およびryanodine 受容体を介して Ca2+ を SR から放出する両方の機序が働いている。それらの働きの重要性は組織とアゴニストの種類により異なる。一般的には、平滑筋収縮の早い第一相にはストアーからの Ca2+ が 利用され、遅い第二相には細胞外からのCa2+ 流入が貢献している。
平滑筋細胞でのCa2+動員機構 |
(4)ミオシンのリン酸化と収縮
i) Ca2+ イオンによるミオシン軽鎖キナーゼの活性化
増加した Ca2+ イオンは細胞内カルモジュリンと結合し、ミオシン軽鎖キナーゼを活性化する。その結果、ミオシン軽鎖のリン酸化が起こり、アクチンとミオシン頭部で形成される cross bridge が回転して収縮が生じる。従って、収縮の強さを決めるのは一義的には、ミオシン軽鎖をリン酸化する細胞内 Ca2+ イオン濃度と言える。
ミシン軽鎖のリン酸化によるcross bridgeの回転 |
ii) ミオシン軽鎖リン酸化量の調節
一定の Ca2+ イオン濃度下で、ミオシン軽鎖のリン酸化を調節する機序が存在する。平滑筋細胞膜に存在する m3 やα1 受容体が活性化されると、低分子量 GTP 結合蛋白質のひとつである RhoA が活性化され、RhoA kinase を介してミオシン軽鎖フォスファターゼがリン酸化され、活性が抑制される。その結果ミオシン軽鎖のリン酸化が増加し収縮反応が出る。これとは別に、PKC が 17kDa 蛋白を介して、やはりミオシン軽鎖フォスファターゼを抑制する系も知られている。これらは、Ca2+ イオン濃度が一定であるのに収縮を生じるので、収縮機構の ‘Ca2+ 感受性増加’とも表現されている。このほか、細胞内 cyclic GMP の増加が PKG を介して、ミオシン軽鎖フォスファターゼを活性化する。また、カルシュウム・カルモヂュリン依存性プロテインキナーゼIIがミオシン軽鎖キナーゼをリン酸化して、ミオシン軽鎖キナーゼを抑制する系も知られている。これらの場合には、Ca2+ イオン濃度が一定であるのに弛緩を生じるので、収縮機構の ‘Ca2+ 感受性低下’とも表現されている。
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